



NSTチェアマン 藤井 真院長
21世紀になり日本の医療を取り巻く状況は大きく変化しています。単に病気の治療だけではなく、より”生きる質(Quality Of Life)“の向上を目指すことが医療の現場に求められています。その手段として、”食べて治す“つまり栄養療法は重要な位置を占めるのです。1980年代から、主に消化器外科の術前・術後管理やICUにおける全身管理において、適切な栄養管理の重要性が認識されてきました。日本静脈経腸栄養学会を中心に2001年ごろより普及がすすめられ、その後急速に全国に拡大しています。南大和病院では2001年、いわゆるNST黎明期に全国に先駆けてNSTを立ち上げ、現在まで稼動をしています。
NST( Nutrition Support Team)は、患者さんに適切な栄養管理が行われるよう支援することを目的にしたチームのことです。 医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、検査技師、理学療法士、臨床工学士らで構成され、患者さんの栄養状態を良くすることで治療効果を高めたり、社会復帰を支援することを目指します。
対象: 入院時に看護師と管理栄養士により初期栄養アセスメントを行い、栄養管理の必要ありと判定された方が対象となります。具体的には、栄養不良が起こりやすい方、褥瘡のある方、大きな手術前の方、肺気腫の方、誤嚥しやすい方、抗がん剤治療中の方などです。
栄養評価: 初期アセスメントを行った後、NSTがより客観的な栄養評価を行い、適切な栄養療法が行えるようにします。
栄養療法の決定: それぞれの患者さんに最も適した栄養の投与方法をアドバイスします。基本的には口から食べていただくのが最も体にいいのは言うまでもありませんが、状況によっては胃や小腸にチューブをいれて栄養を投与したり、点滴が必要になる場合もあります 〈必要栄養量の計算、経口栄養の支援、経腸栄養・静脈栄養の検討などを行います〉 。
回診: 定期的にカンファレンスを行い、病棟を回診しています。個々の患者さんに最適な栄養療法について早期に栄養改善を図れるようさまざまな専門職が協力して、チームで治療に取り組んでいます。
退院支援: 栄養管理を行った後の栄養状態の評価を行い、退院に向けて支援します。
薬だけに頼るのではなく、まずは患者さん自身が口から食べて栄養状態を改善することにより、ご自分の体で病気を治すことをサポートします。また大きな手術を受けられる方がより安全に手術に臨めるように、栄養状態を管理します。
患者さんの栄養状態維持・改善のためには、入院中の栄養管理にとどまらず、退院後の継続管理がとても大切です。そのためには地域の開業医、介護福祉施設、訪問看護ステーション、居宅支援事業者などに働きかけ、栄養管理が継続できるようなシステム作りをしています。